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法科大学院の司法試験「合格コスパ」ランキング【2026年最新版】

司法試験の合格率は法科大学院を選ぶときの代表的な指標ですが、合格率だけでは在学中に負担する学費が見えません。法学既修者コース2年間の学費は、国立が標準額で189万円、私立は155万円から362万円まで2倍以上の開きがあります。本稿では、法務省が公表した令和7年司法試験の法科大学院別合格率と、各校が公式サイトで公表する2026年度の学生納付金を掛け合わせ、「学費100万円あたり何ポイントの合格率を得られるか」を指数化しました。国立と私立の差、公立2校の学費水準、私立の中で上位に入る校を、一次情報だけで整理します。

目次

ランキングの評価方法

  • 合格実績の出典:法務省「令和7年司法試験の結果について」の「法科大学院等別合格者数等」(2025年11月11日公表、https://www.moj.go.jp/content/001450176.pdf)。各校の受験者数、最終合格者数、合格率(最終合格者数÷受験者数)を用いました。法務省の表は「修了者」と「在学中」(法科大学院在学中に受験資格を得た者)を分けて計上しており、本稿の合格率は両者を合計した「計」欄の値です。修了者と在学中の内訳は一覧表に併記しました。
  • 対象年:令和7年(2025年)司法試験。令和8年司法試験の最終合格発表は2026年11月11日の予定で、本稿執筆時点では法科大学院別の結果が公表されていません。
  • 学費の定義:各校公式サイトの2026年度学生納付金をもとに、法学既修者コース(標準修業年限2年)の「入学金(入学料)+(授業料+必須納付金)×2年」を算出しました。必須納付金は施設設備費・教育充実費・在籍料・演習料など大学が学費として徴収するもので、校友会費・学会費・保険料などの諸会費は除いています。国立は標準額(入学料282,000円、授業料804,000円/年)で統一し、公立は自治体外居住者の入学料、私立は他大学出身者の額を採用しました。奨学金や減免は反映していません。
  • コスパ指数:合格率(%)÷ 学費2年合計(百万円)。例えば京都大は58.45 ÷ 1.89 = 30.93です。指数が同じ場合は合格率、次いで合格者数の多い順としました。
  • 対象校:令和7年司法試験の最終合格者数が10人以上、または受験者数が30人以上の法科大学院で、2026年度に学生募集を行っている30校。閾値未満の12校と、2023年度以降学生募集を停止している駒澤大は参考扱いです。
  • 予備試験ルート(令和7年は受験468人・合格428人、合格率90.68%)は法科大学院を経由しないため対象外です。

TOP10

順位法科大学院合格率合格者数学費2年合計コスパ指数主なポイント
1京都大(国立)58.45%128人1,890,000円30.93合格率58.45%で全国首位。令和7年度は授業料全額免除が前期63名・後期66名(法科大学院「経済的サポート」)
2東京大(国立)50.00%116人1,890,000円26.46合格率50.00%・合格者116人。学部授業料の改定(642,960円)は法科大学院には及ばず804,000円のまま
3一橋大(国立)47.66%61人1,890,000円25.22合格率47.66%。法科大学院奨学金(月額5万円・1年間・2名以内)など学内3制度
4東北大(国立)43.36%49人1,890,000円22.94合格率43.36%、在学中受験の合格率82.76%は全校で最高。入学料+初年度授業料相当(2026年度予定額108万6千円)の給付型奨学生制度
5神戸大(国立)41.18%56人1,890,000円21.79合格率41.18%。2026年度募集人員は合計80名(未修20名程度・既修60名)
6北海道大(国立)35.14%26人1,890,000円18.59合格率35.14%。入試成績のみで入学料・初年度授業料を免除する成績優秀者特別免除制度(毎年度入学定員の1割程度)
7九州大(国立)30.95%26人1,890,000円16.38合格率30.95%。日本学生支援機構第一種は令和7年度に申請14人・採用14人
8千葉大(国立)29.63%16人1,890,000円15.68合格率29.63%。授業料減免は令和7年度に延べ50名、遠方出身の女性学生向け住居費補助(最大月2万円)
9大阪大(国立)28.57%48人1,890,000円15.12合格率28.57%・合格者48人。修学支援事業基金の年額30万円給付、令和8年度入学者から専門実践教育訓練給付金の対象
10名古屋大(国立)28.57%32人1,890,000円15.12合格率28.57%・合格者32人。授業料免除は各期の約半額相当、既修者課程は専門実践教育訓練給付金の指定講座

各校の解説

第1位 京都大法科大学院(合格率58.45%、合格者128人、指数30.93)

受験者219人のうち128人が合格し、合格率58.45%は全法科大学院で最も高い水準です。在学中受験者は126人中98人(77.78%)、修了者は93人中30人(32.26%)でした。学費は国立の標準額(2年合計1,890,000円)のため、最高の合格率がそのまま指数の首位につながっています。法科大学院の「経済的サポート」ページによると、令和7年度の授業料免除は前期63名・後期66名が全額免除、入学料は12名が半額免除でした。日本学生支援機構の第一種奨学金は同年度に29名が採用され、専門実践教育訓練給付金の指定講座にもなっています。

第2位 東京大法科大学院(合格率50.00%、合格者116人、指数26.46)

受験者232人中116人が合格し、合格率は50.00%。合格者数は早稲田大、京都大、慶應義塾大に次ぐ4番目です。修了者の合格率31.09%に対し、在学中受験者は69.91%(113人中79人)でした。東京大学は学部の授業料を令和7年度以降の入学者から642,960円に改定しましたが、「授業料、入学料、検定料の額」の表では法科大学院学生の授業料は804,000円のままで、改定の対象になっていません。法科大学院独自の「法曹養成専攻奨学生」は2026年度に新規募集と欠員募集が行われ、千賀法曹育英会奨学金や理系出身者向けの中辻創智社奨学金など、併給可能な外部奨学金も案内されています(金額・人数はページに記載がありません)。

第3位 一橋大法科大学院(合格率47.66%、合格者61人、指数25.22)

受験者128人中61人が合格し、合格率は47.66%。在学中受験者は57.75%、修了者は35.09%です。一橋大学の「2026年度 入学料・授業料の金額」では、法科大学院は入学年度に関わらず入学料282,000円・授業料年額804,000円と示されています。法科大学院生向けには、一橋大学法科大学院奨学金(月額50,000円・1年間・2名以内、一般選抜入学者で学業優秀かつ経済困窮度が高い者)、教育基盤整備基金奨学金(月額50,000円・2名程度)、植松正記念奨学金(5年一貫型教育選抜で入学した者・月額50,000円・5名程度)の3制度があります。

第4位 東北大法科大学院(合格率43.36%、合格者49人、指数22.94)

受験者113人中49人が合格し、合格率は43.36%。在学中受験者の合格率82.76%(29人中24人)は対象30校で最も高い数字です。給付型の「東北大学法科大学院奨学生制度」は、入学者選抜試験の成績上位合格者に入学料相当額と初年度授業料相当額(2026年度給付予定額108万6千円)を給付します。在学生にも第1年次の基本科目成績上位者に30万円、第2年次の基幹科目成績上位者に1年分の授業料相当額(2026年度予定80万4千円)または半額相当額の枠があり、日本学生支援機構の貸与は申請者のほぼ全員に認められているとしています。

第5位 神戸大法科大学院(合格率41.18%、合格者56人、指数21.79)

受験者136人中56人が合格し、合格率は41.18%。区分別では在学中53.03%、修了者30.00%でした。神戸大学の令和8年度の入学料・授業料等では、法学研究科実務法律専攻は授業料年額804,000円・入学料282,000円で、他の大学院研究科(535,800円)より高い水準に設定されています。2026年度学生募集要項によると募集人員は合計80名で、法学未修者コースが20名程度、法学既修者コースは法曹コース生特別入試30名(5年一貫型・一般枠17名、地方枠3名、開放型10名)を含む60名です。

第6位 北海道大法科大学院(合格率35.14%、合格者26人、指数18.59)

受験者74人中26人が合格し、合格率は35.14%。修了者38.46%が在学中31.43%を上回っており、TOP10で唯一、修了者の合格率が在学中受験者を上回った校です。法科大学院のFAQによると、経済状況と学業成績に基づく通常の免除制度に加え、入学試験の成績のみに基づいて入学料と初年度授業料を免除する「成績優秀者特別免除制度」があり、毎年度入学定員の1割程度に適用されます。法科大学院独自の奨学金やローンはなく、日本学生支援機構等の制度を利用する形です。2年課程・3年課程ともに専門実践教育訓練給付金の対象になっています。

第7位 九州大法科大学院(合格率30.95%、合格者26人、指数16.38)

受験者84人中26人が合格し、合格率は30.95%。在学中受験者は52.00%(25人中13人)と、修了者の22.03%を大きく上回りました。学費は令和8年度で入学料282,000円、授業料年額804,000円です。法科大学院の「学費及び奨学金」ページによると、令和7年度の日本学生支援機構奨学金は第一種が申請14人・採用14人、第二種が申請6人・採用6人で、申請者全員が採用されています。経済的困窮かつ学業優秀な入学者向けの入学料免除、在学生向けの授業料減免(一部または全額)も案内されています。

第8位 千葉大法科大学院(合格率29.63%、合格者16人、指数15.68)

受験者54人中16人が合格し、合格率は29.63%。在学中受験者は8人中6人(75.00%)が合格しました。千葉大学専門法務研究科の「学費・奨学金・修学支援」ページによると、授業料減免は半期ごとに申請でき、令和7年度は延べ50名が認められています。日本学生支援機構奨学金は同年度に延べ36名が採用されました。成績優秀者への研究科独自の奨学金(令和7年度は2名・総額25万円)や千賀法曹育英会奨学金の推薦制度に加え、実家が遠方で単身居住が必要な女性学生を対象にした住居費補助(最大月2万円)を設けている点が特徴です。

第9位 大阪大法科大学院(合格率28.57%、合格者48人、指数15.12)

受験者168人中48人が合格し、合格率は28.57%。合格者48人は国立で東京大、京都大、一橋大、神戸大、東北大に次ぐ人数です。修了者15.31%に対し在学中は47.14%(70人中33人)と、受験区分による差が大きい校でもあります。高等司法研究科の「経済的サポート」ページによると、修学支援事業基金により年額30万円の奨学金を給付しています。令和7年10月に専門実践教育訓練給付金の指定講座となり、令和8年度入学者から一定の要件を満たす者が支給対象になります。指数は名古屋大と同値のため、合格者数の多い大阪大を上位としました。

第10位 名古屋大法科大学院(合格率28.57%、合格者32人、指数15.12)

受験者112人中32人が合格し、合格率は28.57%。在学中41.67%に対し、修了者は18.75%でした。法科大学院の「授業料・奨学金等・現況」ページによると、学業優秀かつ経済的理由により納入が困難な学生には各期の授業料の約半額相当が免除され、2022年度は前期20名・後期20名でした。中部弁護士会連合会と愛知県弁護士会が後援するNPO法人ロースクール奨学金ちゅうぶの支給対象校で、2022年度入学生3名が採用されています。法学既修者課程は専門実践教育訓練給付金の指定講座です。2024年度の在籍者数は収容定員150名に対して145名でした。

全対象校の一覧(30校)

順位法科大学院設置受験者数合格者数合格率修了者/在学中の合格率学費2年合計コスパ指数
1京都大国立21912858.45%32.26%/77.78%1,890,000円30.93
2東京大国立23211650.00%31.09%/69.91%1,890,000円26.46
3一橋大国立1286147.66%35.09%/57.75%1,890,000円25.22
4東北大国立1134943.36%29.76%/82.76%1,890,000円22.94
5神戸大国立1365641.18%30.00%/53.03%1,890,000円21.79
6北海道大国立742635.14%38.46%/31.43%1,890,000円18.59
7九州大国立842630.95%22.03%/52.00%1,890,000円16.38
8千葉大国立541629.63%21.74%/75.00%1,890,000円15.68
9大阪大国立1684828.57%15.31%/47.14%1,890,000円15.12
10名古屋大国立1123228.57%18.75%/41.67%1,890,000円15.12
11早稲田大私立32515046.15%35.00%/56.97%3,126,000円14.76
12福岡大私立31722.58%18.52%/50.00%1,550,000円14.57
13中央大私立1907740.53%19.35%/60.82%2,900,000円13.98
14慶應義塾大私立23611850.00%27.06%/62.91%3,620,000円13.81
15広島大国立37924.32%21.43%/33.33%1,890,000円12.87
16関西学院大私立481735.42%33.33%/66.67%2,850,000円12.43
17東京都立大公立921819.57%14.93%/32.00%1,608,000円12.17
18同志社大私立1204033.33%25.37%/43.40%2,956,000円11.28
19岡山大国立46919.57%9.09%/29.17%1,890,000円10.35
20筑波大国立681217.65%7.14%/66.67%1,890,000円9.34
21日本大私立1042120.19%17.72%/28.00%2,410,000円8.38
22上智大私立46919.57%6.67%/43.75%2,706,000円7.23
23琉球大国立32412.50%11.11%/20.00%1,890,000円6.61
24明治大私立1112118.92%18.99%/18.75%2,880,000円6.57
25関西大私立641117.19%14.55%/33.33%2,830,000円6.07
26学習院大私立42716.67%6.06%/55.56%2,750,000円6.06
27大阪公立大公立53611.32%20.83%/3.45%1,990,000円5.69
28創価大私立39615.38%4.35%/31.25%2,760,000円5.57
29立命館大私立1402215.71%11.83%/23.40%3,114,400円5.04
30法政大私立76810.53%9.52%/15.38%2,710,000円3.89

修了者/在学中の合格率は法務省の表の区分どおりで、「-」は該当区分の受験者がいないことを示します。

TOP10は国立14校のうち10校が占め、私立の最上位は早稲田大の11位(合格率46.15%、合格者150人は全校最多)でした。学費2年合計が1,550,000円と私立で最も低い福岡大が12位に入り、中央大(13位)、慶應義塾大(14位)、関西学院大(16位)が続きます。慶應義塾大は合格率50.00%で東京大と並びますが、学費が対象校で最も高い3,620,000円のため指数では14位です。公立は東京都立大が授業料663,000円と国立標準を下回る水準で17位、大阪公立大は27位でした。

参考:閾値未満・対象外の13校

法科大学院受験者数合格者数合格率扱い
専修大27725.93%合格者7人・受験者27人で閾値未満
金沢大22522.73%合格者5人・受験者22人で閾値未満
愛知大9555.56%合格者5人・受験者9人で閾値未満(2017年度以降学生募集停止)
駒澤大3026.67%受験者30人で閾値は満たすが、令和5(2023)年度以降の学生募集を停止しており2026年度学生納付金が存在しないため対象外
南山大19210.53%合格者2人・受験者19人で閾値未満
甲南大16212.50%合格者2人・受験者16人で閾値未満
横浜国立大600.00%合格者0人・受験者6人で閾値未満(学生募集停止)
近畿大400.00%合格者0人・受験者4人で閾値未満(学生募集停止)
桐蔭横浜大300.00%合格者0人・受験者3人で閾値未満(学生募集停止)
北海学園大300.00%合格者0人・受験者3人で閾値未満(学生募集停止)
立教大300.00%合格者0人・受験者3人で閾値未満(学生募集停止)
西南学院大200.00%合格者0人・受験者2人で閾値未満(学生募集停止)
成蹊大100.00%合格者0人・受験者1人で閾値未満(学生募集停止)

なお、本表は減免前の標準額で計算しています。関西学院大は標準修業年限内の在学生全員が給付型奨学金の対象であると明記し、大阪公立大は2026年度から所得制限と資産要件を撤廃した入学料・授業料の無償化(大阪公立大学等授業料等支援制度)に法曹養成専攻を含めています。東京都立大には所得要件のない都内子育て世帯への授業料免除があります。こうした制度を反映した実質負担で見ると、順位は変わり得ます。

まとめ

合格率と学費を掛け合わせると、TOP10は国立法科大学院が独占し、首位は合格率58.45%の京都大でした。国立14校の学費は同額のため、国立同士の順位は合格率の順位と一致します。一方で、私立の学費は155万円から362万円まで幅があり、合格率50.00%の慶應義塾大が14位、授業料60万円の福岡大が12位に入るなど、学費の水準が私立の順位を左右しました。在学中受験の合格率が修了者を大きく上回る校が多い点も、法科大学院選びでは見落とせない要素です。令和8年司法試験の結果は2026年11月に公表予定で、公表後に本ランキングを更新します。

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出典:法務省「令和7年司法試験の結果について」(法科大学院等別合格者数等)、各法科大学院・大学の公式サイト(2026年9月30日閲覧)。学費は2026年度の学生納付金(減免前)。

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この記事を書いた人

大澤 陽平のアバター 大澤 陽平 金沢大学 非常勤講師/ポップコーン株式会社 代表取締役

ポップコーン株式会社 代表取締役。金沢大学 非常勤講師。

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