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民間企業からの研究資金が多い大学ランキング【2026年最新版】

文部科学省が2026年2月に公表した令和6年度の調査によると、大学等が民間企業との共同研究で受け入れた研究費は約1,065億円で、前年度から約37億円(3.6%)増えました。令和2年度の約847億円から毎年度増加しており、件数も32,093件と前年度を907件上回っています。一方、民間企業からの受託研究は約146億円で、8.3%減少しました。企業の研究開発資金がどの大学に向かっているのかを把握するため、本記事では国内民間企業からの共同研究と受託研究の受入額を大学別に集計し、件数、1件当たり金額、民間比率とあわせて整理します。

目次

ランキングの評価方法

出典

文部科学省「令和6年度 大学等における産学連携等実施状況について」(2026年2月12日公表、同年7月10日更新)の機関別データのうち、様式2(共同研究)と様式3-1(受託研究)を用いました。対象年度は令和6年度(2024年度)で、2026年9月30日時点で公表されている最新の実績です。

定義

民間企業からの研究資金=国内民間企業からの共同研究受入額+国内民間企業からの受託研究受入額。いずれも直接経費と間接経費の合計で、単位は億円(小数1桁)です。原データは千円単位で、順位は千円単位の合計で決めています。そのため、表の内訳を足しても合計と0.1億円ずれる場合があります。同額の大学はありません。

補助指標

  • 共同研究件数:国内民間企業との共同研究の件数。契約期間が令和6年度に1日でもかかる契約を数え、複数年契約などで年度内の入金が0円の契約も1件に含みます
  • 1件当たり金額:国内民間企業との共同研究の受入額÷件数(万円)
  • 民間比率:民間企業からの研究資金÷共同研究・受託研究の受入総額。分母には国、独立行政法人、地方公共団体、外国企業などからの受入額を含みます

対象と除外

対象は国公私立大学(短期大学を含む)987校です。同じ調査に含まれる高等専門学校と大学共同利用機関は除きました。調査は1,077機関のうち1,051機関が回答(回答率98%)しており、機関別データに掲載のない大学は対象外です。金額や件数による閾値は設けていません。外国企業は調査票で「国内民間企業以外の団体」に区分されるため含めず、治験等、知的財産権等収入、寄附金も含めていません。文部科学省が公表する「民間企業からの研究資金等受入額」は治験等と知的財産を加えた集計で、本ランキングとは範囲が異なります。

名寄せ

東京科学大学は、2024年10月に東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して発足しました。令和6年度調査では旧2大学が別々に回答しているため、2校分を合算しています。本文の「全国◯位」は、名寄せ後の987校の中での順位です。

民間企業からの研究資金ランキング TOP10

順位大学民間企業からの研究資金(億円)共同研究件数1件当たり(万円)民間比率主なポイント
1東京大学177.82,15780719.8%民間共同研究174.0億円は2位の1.6倍。1件当たり807万円、1億円以上の案件20件
2大阪大学110.91,34280629.1%共同研究講座(部門)91件・協働研究所25件(2024年度末)。自大学発ベンチャーからの共同研究受入額11.7億円は大学で最多
3京都大学88.81,38256223.6%民間からの受託研究11.1億円は全国1位。2024年4月に成長戦略本部を設置
4東北大学69.41,56543924.2%民間共同研究1,565件は東大に次ぐ2位。共創研究所制度(2021年創設)
5東京科学大学52.71,02045621.4%旧東京工業大学45.3億円+旧東京医科歯科大学7.4億円の合算。統合は2024年10月
6名古屋大学46.072060621.1%1件当たり606万円は上位10校で3番目に高い。2024年5月にTOIC(Tokai Open Innovation Complex)をオープン
7慶應義塾大学37.674939924.5%私立で最上位。民間受託7.8億円は全国3位、民間共同研究749件のうち新規444件
8九州大学33.287833719.5%民間共同研究878件で件数6位。組織対応型連携と九大OIP(100%子会社)
9北海道大学30.876334822.0%民間受託4.3億円は全国6位。産学・地域協働推進機構の3本部体制
10早稲田大学27.865134524.9%11位神戸大学との差は約0.1億円(11,326千円)。民間受託5.3億円は全国5位

共同研究件数と1件当たり金額は、国内民間企業との共同研究についての値です。

各大学の解説

第1位 東京大学(177.8億円)

東京大学は民間企業からの研究資金が177.8億円で、2位の大阪大学を約67億円上回りました。内訳は共同研究174.0億円、受託研究3.7億円です。共同研究は2,157件で全国1位、1件当たり807万円は上位10校で最も高い水準です。1件1,000万円以上の案件が346件あり、共同研究受入額の78.0%を占めます。うち1億円以上は20件、42.8億円でした。窓口は産学協創推進本部で、大学と民間企業の組織間連携を「産学協創」として進めています。文部科学省に報告した取組事例では、ソフトバンクなど3社が最大200億円規模の資金拠出を予定する産学協創協定(2019年締結、期間約10年)を挙げています。

第2位 大阪大学(110.9億円)

大阪大学は110.9億円で、共同研究108.1億円、受託研究2.8億円です。共同研究1,342件の1件当たり金額は806万円と東京大学に並ぶ水準で、1,000万円以上の案件が受入額の82.5%を占めます。民間比率29.1%は上位10校で最も高く、自大学発ベンチャーとの共同研究受入額11.7億円は大学で最多でした。産学連携の中核組織は、2018年1月に立ち上げた共創機構です。組織的に共同研究を進める共同研究講座(部門)と、キャンパスに研究所を設置する協働研究所を制度化しており、大学の報告では2024年度末時点で共同研究講座(部門)91件、協働研究所25件を設置しています。

第3位 京都大学(88.8億円)

京都大学は88.8億円で、共同研究77.7億円、受託研究11.1億円です。民間企業からの受託研究は全国1位で、10億円を超えたのは同大学だけでした。共同研究は1,382件(全国3位)、1件当たり562万円です。自大学発ベンチャーとの共同研究は6.8億円で、大阪大学に次ぐ2位でした。2024年4月1日には産官学連携本部やオープンイノベーション機構などを統合し、研究成果の活用とファンドレイジングを一体で担う成長戦略本部を設置しています。同本部のもとで、京大オリジナル、TLO京都、iPSアカデミアジャパン、京都大学イノベーションキャピタルのグループ会社4社が事業を展開する体制です。

第4位 東北大学(69.4億円)

東北大学は69.4億円で、共同研究68.7億円、受託研究0.8億円と、ほぼ全額が共同研究です。共同研究1,565件は東京大学に次ぐ全国2位で、うち740件が令和6年度に始まった新規契約でした。1件当たり金額は439万円、相手先は大企業が90.8%を占めます。窓口は産学連携機構です。2021年4月に創設した「共創研究所」は、企業が学内に連携拠点を置き、企業出身者が運営を総括する制度で、機構のサイトでは累計59拠点と案内されています(2026年9月30日閲覧)。

第5位 東京科学大学(52.7億円)

東京科学大学は52.7億円です。令和6年度調査では統合前の2大学が別々に回答しており、旧東京工業大学45.3億円と旧東京医科歯科大学7.4億円を合算しました。合算後の共同研究は46.6億円・1,020件、受託研究は6.1億円で、受託は全国4位です。1件当たり金額は456万円でした。産学連携は産学共創機構が担い、オープンイノベーション室、技術プロモーション室、法務室の3室を置いています。大型の連携メニューとして協働研究拠点や共同研究講座を設けており、協働研究拠点の第1号はコマツ革新技術共創研究所です。医療分野では、統合に伴い医療イノベーション機構が発足しました。

第6位 名古屋大学(46.0億円)

名古屋大学は46.0億円で、共同研究43.6億円、受託研究2.3億円です。共同研究は720件と上位10校では早稲田大学に次いで少ない一方、1件当たり606万円は東京大学、大阪大学に続く3番目の高さで、1,000万円以上の案件が102件あります。窓口は学術研究・産学官連携推進本部です。組織的な連携体制を組む「指定共同研究」や、企業から経費と人材を受け入れる「産学協同研究講座」の制度があります。2024年5月には東海国立大学機構のオープンイノベーション拠点TOICを開設し、TOIC NAGOYAの4〜7階を共同研究制度を利用する企業のラボに充てています。

第7位 慶應義塾大学(37.6億円)

慶應義塾大学は37.6億円で、私立大学の最上位です。共同研究29.9億円に対して受託研究が7.8億円あり、受託は全国3位、民間企業からの研究資金に占める受託の割合は20.6%と上位10校で最も高くなっています。共同研究749件のうち444件が新規契約で、1件当たり金額は399万円でした。研究支援は研究連携推進本部(研究推進・企画戦略・研究データ管理の3部門)が担い、産学連携の場面ではスタートアップと知的資産の2部門からなるイノベーション推進本部と協働する体制です。8位の九州大学との差は約4.4億円でした。

第8位 九州大学(33.2億円)

九州大学は33.2億円で、共同研究29.6億円、受託研究3.6億円です。共同研究878件は全国6位と、金額の順位より件数の順位が高く、1件当たり金額は337万円です。新規契約は540件で、件数の61.5%を占めます。窓口の学術研究・産学官連携本部(AiRIMaQ)は、2015年4月に研究戦略企画室と産学官連携本部を統合して設置されました。企業向けに組織対応型連携や共同研究部門の制度を案内しており、大学の100%子会社である九大OIP株式会社と一体で産学官連携を進めるとしています。

第9位 北海道大学(30.8億円)

北海道大学は30.8億円で、共同研究26.5億円、受託研究4.3億円です。受託研究は全国6位で、共同研究は763件、1件当たり348万円でした。共同研究の相手先は大企業が86.7%を占めます。窓口の産学・地域協働推進機構は、産学連携推進本部、社会・地域創発本部、スタートアップ創出本部の3本部で構成されています。企業が学内に研究室を置いて組織対組織の大型共同研究を行う「産業創出講座等」の制度を2014年4月から運用しており、設置にあたっては機構の産学協働マネージャーが支援します。

第10位 早稲田大学(27.8億円)

早稲田大学は27.8億円で、共同研究22.5億円、受託研究5.3億円です。受託研究は全国5位で、私立では慶應義塾大学に次ぎます。共同研究651件のうち477件が新規契約で、新規の割合73.3%は上位10校で最も高い水準です。1件当たり金額は345万円でした。文部科学省の2018年度事業への採択を機に設立したオープンイノベーション戦略研究機構が、企業と「組織対組織」で共同研究を進める研究プロジェクト「リサーチ・ファクトリー」を推進しています。11位の神戸大学(27.7億円)との差は約1,100万円で、順位は僅差です。

上位20校の一覧

順位大学区分民間企業からの研究資金(億円)共同研究(億円)受託研究(億円)共同研究件数1件当たり(万円)民間比率
1東京大学国立177.8174.03.72,15780719.8%
2大阪大学国立110.9108.12.81,34280629.1%
3京都大学国立88.877.711.11,38256223.6%
4東北大学国立69.468.70.81,56543924.2%
5東京科学大学国立52.746.66.11,02045621.4%
6名古屋大学国立46.043.62.372060621.1%
7慶應義塾大学私立37.629.97.874939924.5%
8九州大学国立33.229.63.687833719.5%
9北海道大学国立30.826.54.376334822.0%
10早稲田大学私立27.822.55.365134524.9%
11神戸大学国立27.718.29.463628734.0%
12順天堂大学私立23.122.11.027281340.4%
13筑波大学国立21.620.90.759335324.3%
14広島大学国立16.515.80.756028327.8%
15大阪公立大学公立14.613.01.643330132.6%
16千葉大学国立12.411.31.138729319.4%
17信州大学国立11.09.51.447020326.7%
18長崎大学国立10.36.43.921429921.0%
19名古屋工業大学国立9.69.30.329931136.9%
20東京農工大学国立9.59.30.237524730.8%

11位の神戸大学は、民間企業からの受託研究が9.4億円と京都大学に次ぐ全国2位でした。12位の順天堂大学は共同研究272件に対して1件当たり813万円と上位20校で最も高く、民間比率40.4%も最高です。15位の大阪公立大学は、公立大学で唯一20位以内に入りました。18位の長崎大学は受託研究3.9億円が全国7位です。20位の東京農工大学と21位の金沢大学(9.4億円)の差は約0.1億円でした。

まとめ

民間企業からの研究資金は、東京大学と大阪大学が100億円を超え、上位10校で大学全体(1,199.2億円)の56.3%、上位20校で69.3%を占めました。設置区分別では国立大学が75.6%です。上位10校の1件当たり金額は337万円から807万円まで開きがあり、大型案件の比重は大学ごとに異なります。受託研究は京都大学、神戸大学、慶應義塾大学の順で、共同研究とは顔ぶれが変わります。共同研究先を検討する際は、総額に加えて件数、1件当たり金額、民間比率をあわせて確認することをおすすめします。

出典:文部科学省「令和6年度 大学等における産学連携等実施状況について」機関別データ(様式2・様式3-1)、同「組織的産学官連携活動における主な取組方針等及び取組事例」(様式14)、各大学の産学連携組織の公式サイト(2026年9月30日閲覧)

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この記事を書いた人

大澤 陽平のアバター 大澤 陽平 金沢大学 非常勤講師/ポップコーン株式会社 代表取締役

ポップコーン株式会社 代表取締役。金沢大学 非常勤講師。

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