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研究費の獲得総額が多い大学ランキング【2026年最新版】

大学の研究活動を支える外部資金には、性質の異なる二つの流れがあります。一つは、研究者の自由な発想に基づく学術研究を国が助成する科学研究費助成事業(科研費)です。もう一つは、企業や公的機関との共同研究・受託研究、治験、寄附金といった産学連携等の資金です。前者は審査を経て研究者に配分される競争的研究費であり、後者は大学がどれだけ社会から研究を委ねられ、支援を集めているかを映します。本記事では両者を合算した「研究費の獲得総額」で国内の大学を並べ、内訳とともに上位校の特徴を整理します。

目次

ランキングの評価方法

出典

  • 科研費:日本学術振興会「科研費データ」研究機関別配分状況(令和7年度)一覧。研究代表者が所属する研究機関別の配分額で、新規+継続、直接経費と間接経費の合計です。特別推進研究から国際共同研究加速基金までの主な研究種目を対象とした通年版を用いました。
  • 産学連携等:文部科学省「令和6年度 大学等における産学連携等実施状況について」(2026年2月12日公表、同年7月10日更新)の機関別データ。共同研究受入額(民間企業分と民間企業以外分の合計)、受託研究受入額(同。国・独立行政法人からの委託を含み、治験等を除く)、治験等受入額、寄附金受入額(現金の寄附金)の4項目です。

定義

総額=科研費配分額+共同研究受入額+受託研究受入額+治験等受入額+寄附金受入額。単位は億円(小数1桁)です。原データは千円単位で、順位は千円単位の合計で決めているため、表の内訳を足しても総額と0.1億円単位でずれる場合があります。本文の「全国◯位」は、集計対象とした大学の中での順位です。

対象と除外

国公私立大学(短期大学を含む)987校を対象とし、高等専門学校・大学共同利用機関・国立研究開発法人は除きました。産学連携等の調査は1,077機関のうち1,051機関が回答(回答率98%)しており、機関別データに含まれない大学は対象外です。知的財産権等収入、現物寄附、科研費以外の競争的研究費は総額に含めません。

名寄せ

東京科学大学は、産学連携等(令和6年度)が旧東京工業大学と旧東京医科歯科大学の別回答であるため2校分を合算し、科研費(令和7年度)は東京科学大学として計上しました。昭和大学は現名称の昭和医科大学で表記しています。

年度混在についての注記

科研費は令和7年度(2025年度)の配分額、産学連携等は令和6年度(2024年度)の実績で、年度が1年ずれています。2026年9月30日時点で公表されている機関別データのうち、各項目の最新年度をそれぞれ採用しました。令和8年度の科研費機関別配分状況は、新規分に研究活動スタート支援等の計上がない早期集計のため採用していません。

研究費の獲得総額ランキング TOP10

順位大学総額(億円)科研費(億円)産学連携等(億円)主なポイント
1東京大学1,324.3215.51,108.8受託研究692.0億円(総額の52.3%)、共同研究207.3億円、寄附金206.3億円がいずれも全国1位
2京都大学658.0139.0518.9科研費139.0億円と寄附金137.4億円がほぼ同規模で、いずれも全国2位
3大阪大学609.8103.5506.3共同研究116.3億円は全国2位、治験等11.9億円は全国1位
4東北大学442.098.1344.0科研費98.1億円(全国4位)と受託研究202.2億円。国際卓越研究大学の第1号認定校
5東京科学大学358.870.0288.8受託研究195.2億円が総額の54.4%。産学連携等は旧東京工業大学と旧東京医科歯科大学の合算
6名古屋大学333.073.5259.5科研費73.5億円は全国5位、受託研究167.5億円が総額の50.3%
7九州大学285.171.1214.0科研費71.1億円(全国6位)、治験等8.7億円は全国4位
8慶應義塾大学247.734.4213.2私立トップ。寄附金53.1億円は全国4位、受託研究118.0億円
9北海道大学247.067.1179.9科研費67.1億円(全国8位)が総額の27.2%を占め上位10校で最高。総額は8位と0.7億円差
10早稲田大学175.230.0145.2私立2位。受託研究86.5億円が総額の49.3%、治験等の計上なし

内訳(1位〜20位、億円)

順位大学総額科研費共同研究受託研究治験等寄附金
1東京大学1,324.3215.5207.3692.03.3206.3
2京都大学658.0139.089.4287.34.8137.4
3大阪大学609.8103.5116.3265.411.9112.7
4東北大学442.098.184.7202.29.447.7
5東京科学大学358.870.051.1195.24.538.1
6名古屋大学333.073.550.0167.54.337.7
7九州大学285.171.134.4135.78.735.1
8慶應義塾大学247.734.435.5118.06.653.1
9北海道大学247.067.130.7109.17.033.0
10早稲田大学175.230.024.986.50.033.8
11筑波大学170.544.924.364.83.333.2
12神戸大学146.232.820.660.92.129.8
13広島大学116.131.117.541.83.422.2
14千葉大学110.726.213.550.23.916.9
15順天堂大学96.717.523.134.38.513.4
16金沢大学89.623.210.533.44.418.0
17岡山大学89.530.96.624.04.723.3
18大阪公立大学86.622.114.330.64.415.2
19熊本大学84.120.410.331.33.818.3
20長崎大学78.513.56.842.42.213.6

各大学の解説

第1位 東京大学(1,324.3億円)

東京大学は科研費215.5億円(採択件数3,992件)、産学連携等1,108.8億円で、いずれも全国1位です。総額の52.3%を占める受託研究692.0億円は、その大半が国や独立行政法人など民間企業以外からの委託(688.3億円)で、大型の国家プロジェクトの受け皿となっている構図が読み取れます。共同研究207.3億円(うち民間企業174.0億円)と寄附金206.3億円もそれぞれ全国1位で、2位以下を大きく引き離しています。産学連携の窓口は産学協創推進本部で、産学イノベーション推進部、スタートアップ推進部、知的財産契約・管理部、国際オープンイノベーション機構マネジメント部門を置いています。

第2位 京都大学(658.0億円)

京都大学は科研費139.0億円(全国2位)、産学連携等518.9億円です。内訳は受託研究287.3億円、寄附金137.4億円、共同研究89.4億円、治験等4.8億円で、寄附金が科研費とほぼ同じ規模である点が特徴です。2008年に設立されたiPS細胞研究センターを2010年4月に改組したiPS細胞研究所(CiRA)は、2030年までの目標としてiPS細胞ストックを柱とした再生医療の普及や、iPS細胞による個別化医薬の実現と難病の創薬を掲げています。研究支援の面では総合研究推進本部のURAが競争的研究資金の獲得支援や産官学連携の推進を担っています。2026年7月31日には国際卓越研究大学に認定されました。

第3位 大阪大学(609.8億円)

大阪大学は科研費103.5億円(全国3位)、産学連携等506.3億円です。共同研究116.3億円は東京大学に次ぐ全国2位で、うち民間企業分が108.1億円と、民間との結び付きの強さが際立ちます。治験等11.9億円は全国1位、寄附金112.7億円は全国3位です。産学連携の制度面では、2006年度に1研究室と企業の1部門が組織的に共同研究を行う共同研究講座(部門)制度を創設し、2011年度に企業の研究所を学内に誘致する協働研究所制度を導入、2016年度には包括連携契約による組織対組織の大型産学連携を日本で初めて開始したと大学は説明しています。2018年1月には産学共創本部・社学共創本部・渉外本部を集約した一元化窓口として共創機構が発足しました。

第4位 東北大学(442.0億円)

東北大学は科研費98.1億円(全国4位)、産学連携等344.0億円です。受託研究202.2億円が総額の45.7%を占め、共同研究84.7億円、寄附金47.7億円、治験等9.4億円と続きます。治験等9.4億円は全国3位です。2024年11月8日、文部科学大臣は同大学を国際卓越研究大学の第1号として認定しました。大学は体制強化計画として6つの目標と19の戦略を掲げ、世界の研究者を惹きつける研究環境や全方位の国際化を目指すとしています。

第5位 東京科学大学(358.8億円)

東京科学大学は、2024年10月1日に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生しました。科研費70.0億円は令和7年度分を新大学として計上し、産学連携等288.8億円は令和6年度調査で旧2大学が別々に回答した数値の合算です。受託研究195.2億円が総額の54.4%を占め、上位10校のなかで受託研究の比率が最も高い構成です。共同研究51.1億円、寄附金38.1億円、治験等4.5億円が続きます。2026年1月23日には国際卓越研究大学に認定されており、統合後の研究体制の整備が続いています。

第6位 名古屋大学(333.0億円)

名古屋大学は科研費73.5億円(全国5位)、産学連携等259.5億円です。受託研究167.5億円が総額の50.3%を占め、共同研究50.0億円、寄附金37.7億円、治験等4.3億円と続きます。受託研究のうち大学等からの再委託分は26.1億円で、上位10校では東京大学に次ぐ規模です。2020年4月には岐阜大学とともに東海国立大学機構を設立しました。産学官連携は学術研究・産学官連携推進本部が担い、機構としてCOI-NEXTやTOIC(Tokai Open Innovation Complex)などの事業に取り組んでいます。

第7位 九州大学(285.1億円)

九州大学は科研費71.1億円(全国6位)、産学連携等214.0億円です。科研費が総額の25.0%を占め、受託研究135.7億円、寄附金35.1億円、共同研究34.4億円、治験等8.7億円(全国4位)と続きます。産学官連携の窓口はAiRIMaQ(学術研究・産学官連携本部)で、九州大学オープンイノベーションプラットフォームは大学の100%子会社である九大OIP株式会社となり、大学と一体で産学官連携を推進するとしています。

第8位 慶應義塾大学(247.7億円)

慶應義塾大学は私立大学で最上位です。科研費34.4億円に対して産学連携等が213.2億円と、産学連携等の比重が高い構成で、受託研究118.0億円、寄附金53.1億円(全国4位)、共同研究35.5億円、治験等6.6億円です。研究連携推進本部は研究推進・企画戦略・研究データ管理の3部門で構成され、産学連携の場面ではスタートアップと知的資産の2部門からなるイノベーション推進本部と連携・協働するとしています。9位の北海道大学との総額の差は約0.7億円で、順位は僅差です。

第9位 北海道大学(247.0億円)

北海道大学は科研費67.1億円(全国8位)、産学連携等179.9億円です。科研費が総額の27.2%を占め、この比率は上位10校で最も高い水準です。受託研究109.1億円、寄附金33.0億円、共同研究30.7億円、治験等7.0億円と続きます。産学連携の窓口は産学・地域協働推進機構で、共同研究・受託研究、スタートアップ支援、知的財産、起業家教育などを担っています。

第10位 早稲田大学(175.2億円)

早稲田大学は私立2位です。科研費30.0億円、産学連携等145.2億円で、受託研究86.5億円が総額の49.3%を占めます。共同研究24.9億円、寄附金33.8億円で、治験等の計上はありません。研究・研究支援組織と産官学連携の双方に位置付けられたリサーチ・イノベーション・センターが窓口となっています。11位の筑波大学(170.5億円、科研費44.9億円)との差は約4.8億円です。

まとめ

研究費の獲得総額では、国立の旧帝国大学7校と東京科学大学が上位を占め、私立では慶應義塾大学・早稲田大学・順天堂大学が20位以内に入りました。集計対象987大学の総額8,892.1億円のうち上位10校で52.6%、上位20校で64.7%を占め、資金の集中がはっきりと表れています。上位校の受託研究の大半は国・独立行政法人からの委託で、民間との共同研究や寄附金の規模は大学ごとに差があります。年度の異なる項目を合算しているため、時系列の比較は同一年度のデータで行うことをおすすめします。

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出典:日本学術振興会「科研費データ」研究機関別配分状況(令和7年度)/文部科学省「令和6年度 大学等における産学連携等実施状況について」機関別データ(様式2・3-1・3-2・9)/各大学公式サイト・文部科学省「国際卓越研究大学」関連公表資料

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この記事を書いた人

大澤 陽平のアバター 大澤 陽平 金沢大学 非常勤講師/ポップコーン株式会社 代表取締役

ポップコーン株式会社 代表取締役。金沢大学 非常勤講師。

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