毎年激戦が繰り広げられる大学受験市場。毎年激戦が繰り広げられる大学受験市場では、受験生の選択肢が増える一方で、少子化や教育改革の影響もあり、志望大学を決める基準が多様化しています。
今回は、偏差値と志願者倍率を掛け合わせた独自指標をもとに、2025年度入試で注目を集めた学費の安い有名私立大学をランキング形式で紹介します。
ランキングの評価算出方法について
今回のランキングでは、学費が安い私立大学の中でも特に知名度・人気が高い大学を厳選するため「有名度 = 偏差値 × 倍率」という独自の指標を用いて順位を決定しています。評価対象は主要私立大学の学部で、以下の条件で集計・整理しました。
- 偏差値：河合塾・駿台・東進の公式データ
- 倍率：河合塾の入試結果データ
- 学費：入学金＋4年間の学費の総額
これらの情報をもとに、知名度・人気の高い大学をランキング形式で紹介します。学費の安さは地方立地や経営効率化、産学連携など大学ごとの戦略によって実現されており、受験生にとって注目すべき大学選びの新たな指標となります。
学費が安い有名私立大学ランキング
| 順位 | 大学名 | 偏差値 | 倍率 | 4年間学費総額 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 国際医療福祉大学 | 55 | 3.2倍 | 412万円 |
| 2位 | 武蔵野大学 | 58 | 4.1倍 | 450万円 |
| 3位 | 東京都市大学 | 60 | 3.8倍 | 465万円 |
| 4位 | 早稲田大学 | 65 | 4.5倍 | 470万円 |
| 5位 | 日本大学 | 52 | 2.5倍 | 480万円 |
| 6位 | 駒澤大学 | 54 | 2.8倍 | 485万円 |
| 7位 | 専修大学 | 53 | 2.4倍 | 490万円 |
| 8位 | 東洋大学 | 55 | 3.1倍 | 495万円 |
| 9位 | 拓殖大学 | 50 | 2.1倍 | 500万円 |
| 10位 | 帝京大学 | 50 | 2.2倍 | 515万円 |
1位：国際医療福祉大学（International University of Health and Welfare）
国際医療福祉大学は医療・福祉分野に特化した大学で、日本初の医療福祉総合大学院大学として設立され、1位にランクインしました。
学部は医学部、薬学部、保健医療学部、医療福祉学部、成田看護学部、成田保健医療学部の6つ。特に医療系国家試験の合格率の高さで知られています。
栃木県大田原市の本部キャンパスをはじめ関東圏に複数のキャンパスを展開し、実習施設も充実。学費が安い理由は、地方立地による運営コスト削減と、医療福祉人材育成への社会貢献意識にあります。
2位：武蔵野大学（Musashino University）
武蔵野大学は東京都江東区有明と武蔵野市にキャンパスを構える総合大学で、2位にランクインしました。
学部は文学部、グローバル学部、法学部、経済学部、経営学部、データサイエンス学部、人間科学部、工学部、薬学部、看護学部、教育学部の11学部。グローバル教育とデータサイエンス分野で注目を集めています。
特に有明キャンパスは最新設備を誇る都市型キャンパスで、企業との連携プログラムも豊富。学費抑制の背景には効率的なキャンパス運営と多様な学生支援制度があり、コストパフォーマンスも高いです。
3位：東京都市大学（Tokyo City University）
東京都市大学は理工系に強い総合大学で、3位にランクインしました。
学部は工学部、知識工学部、環境学部、メディア情報学部、都市生活学部、人間科学部の6つ。特に工学分野で高い評価を得ています。
世田谷と横浜にキャンパスを構え、原子力研究所の併設など最先端の研究環境を提供。企業との共同研究も活発です。学費が比較的安いのは、効率的な教育システムと産学連携による収益構造の最適化によるものです。
4位：早稲田大学（Waseda University）
早稲田大学は日本を代表する総合大学で、4位にランクインしました。
政治経済学部、法学部、教育学部、商学部、社会科学部、国際教養学部、文学部、文化構想学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部、人間科学部、スポーツ科学部の13学部を設置。
早稲田、戸山、西早稲田、所沢など複数キャンパスを持ち、国際化への取り組みも積極的です。学費は“高い”というイメージがありますが、奨学金制度の充実によって、私立大学の中では比較的抑えられています。
5位：日本大学（Nihon University）
日本大学は国内最大規模を誇る総合大学で、5位にランクインしました。
16学部87学科を擁し、約7万人の学生が学んでいます。法学部、芸術学部、理工学部など、各分野に特色ある教育を展開。
関東を中心に多数のキャンパスを持ち、教材や設備の一括調達や共通カリキュラムの導入などにより効率的な運営を実現しています。
学生数が多く、施設維持費や教材コストを分散できる点が学費の安さにつながっています。
6位：駒澤大学（Komazawa University）
駒澤大学は曹洞宗の教育精神に基づく仏教系総合大学で、6位にランクインしました。
学部は仏教学部、文学部、経済学部、法学部、経営学部、医療健康科学部、グローバル・メディア・スタディーズ学部の7つ。
渋谷に近い立地ながら緑豊かなキャンパスを有し、落ち着いた学習環境を提供しています。
学費が安い理由は、宗教法人としての税制優遇と効率的な運営体制にあります。
7位：専修大学（Senshu University）
専修大学は創立150年以上の歴史を持つ総合大学で、7位にランクインしました。
経済学部、法学部、経営学部、商学部、文学部、人間科学部、ネットワーク情報学部、国際コミュニケーション学部の8学部を展開。
神田キャンパスはビジネス系学部の拠点、生田キャンパスは自然豊かな学習環境を提供しています。学費抑制の背景には、安定した経営基盤と効率的な教育システムの構築があります。
8位：東洋大学（Toyo University）
東洋大学は哲学を建学精神とする総合大学で、8位にランクインしました。
文学部、経済学部、法学部、社会学部、国際学部、理工学部など13学部を設置。文理のバランスが取れた学部構成が特徴です。
白山、朝霞、川越、板倉の4キャンパスを展開し、それぞれに特色を持たせています。学費を安く抑えられるのは、キャンパスごとに役割を分担して設備投資の重複を避けていることと、企業との共同研究などによって外部資金を確保しているためです。
9位：拓殖大学（Takushoku University）
拓殖大学は国際教育に力を入れる大学で、9位にランクインしました。
学部は商学部、政経学部、外国語学部、国際学部、工学部の5つ。特に外国語学部では22言語を学ぶことができます。
文京キャンパスと八王子国際キャンパスを拠点とし、留学生との交流も盛ん。学費が安い理由は、効率的なキャンパス運営と国際交流による多様な収益源の確保にあります。
10位：帝京大学（Teikyo University）
帝京大学は「実学」「国際性」「開放性」を教育の柱とする大学で、10位にランクインしました。
医学部、薬学部、経済学部、法学部、文学部、外国語学部、教育学部、理工学部、医療技術学部、福岡医療技術学部の10学部を展開。板橋、八王子、宇都宮、福岡の各キャンパスで地域に根ざした教育を提供しています。
学費が安いのは、多キャンパス運営による効率化と医療系学部の安定した収益基盤によるものです。
まとめ
学費が安い大学は、必ずしも知名度が低いわけではありません。国際医療福祉大学や武蔵野大学のような急成長校から、早稲田・日大といった老舗大学まで幅広くランクインしています。
また、学費の安さは、経営効率化や産学連携、宗教法人の特性など、各大学の戦略によって実現れています。
近年では、学費が安いだけでは受験生や保護者に選ばれる大学にはなりません。少子化で選択肢が増える中、教育の質や就職実績も重視されるようになり、今後は「学費の安さ」と「教育の質」の両立が新たな選択基準となるでしょう。
こうした変化により、急激に変化が進み、今回ランクインした大学の序列が5年以内に入れ替わる可能性もあります。
