安定した雇用と地域社会への貢献ができる公務員は、依然として就職先として高い人気を保っています。「雇用の安定」や「働きやすさ」といった理由から、公務員志望者は年々根強く、地方志向の高まりもその人気を後押ししています。
こうした中、各大学が公務員試験対策に力を入れ始めており、“公務員就職に強い大学”の存在感が増しています。本ランキングは、日本全国の大学について、公務員試験の受験者に対する合格率(合格者数/受験者数)に基づくトップ10をまとめたものです。
評価方法

本ランキングの「合格率」は、公務員試験の受験者数に対する最終合格者数の割合を指します。対象とした公務員試験は、国家公務員(国家総合職〈旧国家I種〉、国家一般職〈旧国家II種〉などの中央官庁採用試験)および地方公務員(都道府県庁、市区町村役所、警察官、消防官、教員採用試験など)あらゆる区分を含みます。
データは最新の公的発表に基づいており、例えば国家公務員試験の合格者数は人事院、公立学校教員の就職者数は文部科学省の統計などから収集しています。
また、大学通信の調査など、各大学の公式発表も参考にしました。合格率算出にあたっては、卒業後に公務員試験を受験した学生を母数とし、最終的に合格を勝ち取った人数との比率を求めています(大学公表の「就職率」等から進学者や民間就職者を除外し、公務員試験受験者に限定)。
公務員合格率ランキング
公務員合格率ランキングは以下の通りです。
| 順位 | 大学名(所在地/設立) | 合格率 |
|---|---|---|
| 1位 | 日本文化大学(東京都・私立) | 約95% |
| 2位 | 清和大学(千葉県・私立) | 約90% |
| 3位 | 高岡法科大学(富山県・私立) | 85~90% |
| 4位 | 鳴門教育大学(徳島県・国立) | 88.2% |
| 5位 | 上越教育大学(新潟県・国立) | 84.8% |
| 6位 | 兵庫教育大学(兵庫県・国立) | 81.1% |
| 7位 | 福岡教育大学(福岡県・国立) | 77.8% |
| 8位 | 大阪教育大学(大阪府・国立) | 74.4% |
| 9位 | 愛知教育大学(愛知県・国立) | 73.0% |
| 10位 | 宮城教育大学(宮城県・国立) | 72.5% |
※合格率は最新年度の実績に基づく概算値です。日本文化大・清和大・高岡法科大の合格者数は主に警察官採用試験等の最終合格者総計です。教育大学の合格率は、各大学の卒業者から進学者・保育士就職者を除いた「公立学校教員採用試験」の合格率を記載しています。
上位に入った大学について、特徴や取り組みなど1校ずつ見ていきましょう。
1位:日本文化大学(東京)

警察官採用試験に圧倒的な強さを誇る私立大学です。法学部のみの小規模単科大学ながら「警察官就職率全国1位」の実績で知られ、17年連続で警察官実就職率全国トップを維持しています。
2025年卒業生では約93名が警察官に最終合格し、他の公務員合格者も含めると約114名が公務員となりました。手厚いキャリア支援と警察志望者向け対策講座が充実しており、警察官採用試験合格率はほぼ95%に達するとも言われます。
警察官志望の学生を集中的に育成する環境が整っており、高い合格率につながっています。
2位:清和大学(千葉)

千葉県木更津市にある私立大学で、法学部を擁し公務員・警察官志望者の育成に力を入れています。警察官採用試験の合格率で全国2位につけており、2024年度は警察官合格者32名を含む延べ57名が公務員試験に最終合格しました。
学生数は多くありませんが、1年次からの徹底した試験対策と地元警察との連携講座などにより、毎年多数の県警・警視庁職員を輩出しています。
「就職率・警察官合格率はトップクラス」と公式に謳うほどで、地域密着型の支援が高い合格率を支えています。
3位:高岡法科大学(富山)

富山県にある私立の法科大学で、近年学生募集停止を発表しましたが、公務員試験での輝かしい実績を持ちます。初年度卒業生から2021年頃までに累計375名以上の国家公務員・地方公務員・警察官・消防官を輩出してきました。
特に富山県内の自治体職員や警察官、自衛官など地元志向の公務員採用に強く、警察官就職率は全国でもトップクラス(第3位)に位置していました。
学生数が少ない分、一人ひとりへの対策指導が行き届き、地元自治体とも連携した説明会開催などで合格へ導いています。廃校が決まった現在も地元公務員への輩出実績は語り草で、地域への貢献度は高い大学と言えるでしょう。
4位:鳴門教育大学(徳島)

四国に位置する国立の教員養成大学です。卒業生の教員採用試験合格率は88.2%と全国最高水準で、毎年ほぼ全員が小中高の正規教員または講師として教壇に立ちます。
定員が比較的小規模(令和5年3月卒業生107名)ながら、実践重視の4年間一貫した教職課程と徹底した採用試験対策により、82名が地元徳島県を中心に正規・臨時教員として採用されました。これは進学や他業種志望を除くと実質9割近い学生が教員になる計算で、全国でも突出した数値です。
鳴門教育大は教職大学院も備え、現職教員研修も含めた教員育成の拠点であり、その成果が就職実績に表れています。
5位:上越教育大学(新潟)

新潟県に所在する国立の教育大学です。令和5年卒業生157名中112名が教員として採用されており、教員試験合格率は84.8%(進学除く)と非常に高水準です。
上越教育大は学部段階では他の教育大卒業生を対象とした教職大学院が中心でしたが、近年では学部課程も強化され、新潟県内外で教員になる卒業生を多数送り出しています。
学校現場での長期実習や現役教師による指導など実践力重視のカリキュラムが特徴で、その成果として新潟県の小中学校教員採用試験では同大出身者が多数合格する傾向があります。地域の教育ニーズに応える人材育成が高い就職率につながっています。
6位:兵庫教育大学(兵庫)

兵庫県にある国立大学で、学部学生の教員就職率は81.1%(進学除く)と全国有数です。兵庫教育大は学部4年間に加え、教職大学院(専門職学位課程)も併設し、現職教員の再教育も担う教員養成のハブ機関です。
令和5年卒業生164名のうち116名が正規または臨時教員となり、特に兵庫県・大阪府など近畿圏の学校現場で多数が採用されています。
同大は実習重視のプログラムや教育委員会との連携講座を通じて即戦力教師を育成しており、採用試験でも高評価を得ています。地元のみならず全国から教員志望者が集まる西日本の拠点校として、その合格率の高さが際立っています。
7位:福岡教育大学(福岡)

九州唯一の国立教員養成大学で、卒業生の教員就職率は74.1%(進学等除くと77.8%)に達します。令和5年3月卒業生587名中435名が小中高校の教員に就職し、その人数は全国でもトップクラスでした(正規採用369人は全国2位)。
九州各県の教員採用試験を中心に高い合格実績を誇り、大学のキャリア支援センターが模擬授業や面接練習、勉強会を徹底するなどサポートが充実しています。
「九州で教員になるなら福岡教育大」と言われるほど地域からの信頼も厚く、毎年多数の卒業生が地元の教育現場へ羽ばたいています。
8位:大阪教育大学(大阪)

西日本最大規模の国立教員養成大学で、在学生数約4,000人を誇ります。母数が大きい分合格率は相対的に見えにくいものの、教員志望者に限れば就職率98%以上とも言われ、進学等を除いた教員採用試験合格率は74.4%に達しています。
令和5年卒業生542名中369名が教員となり、その正規教員採用人数は全国1位(242人)でした。大阪教育大は小学校から高校まで幅広い教員免許課程を備え、府県教育委員会と連携した採用試験対策講座も充実しています。
大阪府内を中心に、同大卒の先生方が数多く活躍しており、“教師の東大”とも称される伝統校です。
9位:愛知教育大学(愛知)

中部地方の国立教員養成大学で、正規・臨時合わせた教員就職者数が3年連続全国1位(令和5年512人)を誇る大学です。卒業生の教員就職率は68.8%(進学者除くと73.0%)と高く、特に愛知県内の小学校教員や高校教員で多数の合格者を出しています。
令和5年度は正規採用368人・臨時採用144人が教壇に立ち、全国で唯一教員就職者が500人を超える規模となりました。同大は「教育県」愛知の需要に応えるべく、学生へのきめ細かな採用試験指導や面接練習を実施し、教員養成44校平均(61.1%)を大きく上回る就職率を維持しています。
大規模校ならではのネットワークと情報量も強みで、愛知教育大出身の教員コミュニティが後輩を支援する好循環が生まれています。
10位:宮城教育大学(宮城)

東北地方を代表する国立教育大学です。卒業生の教員採用試験合格率は72.5%(進学除く)と高く、宮城県内はもとより東北各県の学校現場で多くの同大卒業生が教鞭を執っています。
令和5年卒業生337名のうち219名が正規または臨時の教員に就職し、そのうち宮城県の小学校教員採用試験合格者数はトップクラスです。東北の教育現場は人材不足傾向にありますが、宮城教育大は地域の期待に応えるべく学生同士の勉強会やOB・OG講話などサポート体制を強化し、高い合格率を実現しています。
東北地方で教職を志す学生にとって頼れる存在であり、地域に根差した教師を育成する使命を果たしています。
まとめ
公務員試験の合格率ランキング上位校を見ると、各大学がそれぞれの強みを活かして公務員志望者を支援していることが分かります。警察官養成に特化した日本文化大学や清和大学のように、大学自らが「公務員予備校」的な役割を果たすケースもあれば、地域の教員需要に応える教育大学のように、大学と自治体が二人三脚で人材育成を進めるケースもあります。
少子化による18歳人口の急減で多くの大学が定員割れに苦しむ時代にあって、公務員就職実績の向上は大学の魅力を高める重要な要素の一つです。
今後の展望として、公務員採用側との連携強化が挙げられます。例えば自治体が地元大学と協定を結び、インターンシップや説明会を定期開催する動きも出てきています。このような状況下で各大学が学生の公務員志向を的確にサポートし、志望者全員を合格・就職まで導けるかが問われています。
