コロナ禍直後である2020 年度の海外派遣留学者数は1,487 人でしたが、2023年度に海外留学を開始した日本人学生は 89,179 人とわずか3年で 約60倍 にあたるV字回復をしています。
この背景には ①出入国制限の緩和、②オンライン型から対面型プログラムへの切り替え、③大学側の給付奨学金拡充といった制度的後押しがあります。とりわけ私立大は機動的な資金投入で派遣者数を急伸させ、国立勢も研究系プログラムをテコに巻き返しました。
今回は国内大学の海外派遣留学参加者数ランキングをご紹介いたします。
ランキングの評価方法について

本ランキングは JASSO 調査区分「大学等が把握している日本人学生派遣数」 を用い、公表されている最新版である2023年4月1日〜2024年3月31 日に海外留学を開始した学部・大学院生を集計対象にしています。
交換留学・短期語学研修・ダブルディグリー・インターンシップ併設型など、大学が正式に「留学」と認定したプログラムは期間の長短を問わずカウント。上位10大学については、各大学が公表する協定校数や奨学金制度を参照して特色を補足しました。
国内大学派遣留学者数 TOP10
| 順位 | 大学 | 派遣学生数 | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 立命館大学 | 2,120名 | 69 か国 474 協定機関。学部横断型「Ritsumeikan Global Gateway」で全員留学を推進。 |
| 2 | 関西学院大学 | 2,081名 | “Study Abroad for All”方針。59 か国 310 協定校と給付奨学金が強み。 |
| 3 | 早稲田大学 | 1,986名 | 協定校 800 超。EX/CS/DD 含む多層プログラムでコロナ前水準に迫る。 |
| 4 | 東京大学 | 1,935名 | 全学交換「USTEP」で 87 協定校(2024 年時点)を展開。研究科連携型派遣が増加。 |
| 5 | 千葉大学 | 1,832名 | 全学必修型「ENGINE 全員留学」で短期派遣を制度化。 |
| 6 | 京都大学 | 1,663名 | アジア拠点 KUASU 主導の共同研究型プログラムが拡大。 |
| 7 | 明治大学 | 1,656名 | 独自給付「国際化サポート奨励金」で経済的障壁を低減。 |
| 8 | 同志社大学 | 1,330名 | 37 か国 176 協定校、長期留学でも4年卒業可の単位設計。 |
| 9 | 東洋大学 | 1,299名 | 英語副専攻と一体化させた TGL(Toyo Global Leaders)で留学率を押上げ。 |
| 10 | 上智大学 | 1,211名 | 80 か国 400 校規模のネットワーク。DD から超短期まで網羅。 |
第1位 立命館大学

世界 69 か国・地域に 474 協定機関を擁し、学部横断必修の 「Ritsumeikan Global Gateway」 を中核に“全員留学”を実現。交換留学の授業料相互免除枠に加え、夏季・春季の超短期研修も全面再開し、派遣者の過半数が1か月未満プログラムを活用しました。
年間10 億円規模の給付奨学金とスタディプラン面談を組み合わせ、帰国後は グローバルキャリアポートフォリオ で学修成果を可視化。こうした一貫支援により、2023 年度の派遣者数は 2,120 人と2年連続首位を維持しています。
第2位 関西学院大学

“Study Abroad for All” を掲げ、59 か国 310 協定校を活用して2年連続で 2,081 人を派遣。授業料相互免除の長期交換に加え、海外ボランティアやオンライン連結型の短期研修も人気です。
2024 年度から全学生対象の 「グローバルチャレンジ制度」 を導入し、派遣前後のキャリアガイダンスとメンター制度を必修化。奨学金は最大100 万円給付型が中心で、オンライン申請の簡素化により応募率が大幅に向上しました。
第3位 早稲田大学

協定校800 超を誇る世界最大級ネットワークを背景に、EX(交換)/CS(カレッジ)/DD(ダブルディグリー) など多層プログラムを展開。Vision 150に掲げる「日本人学生全員が海外経験」達成に向け、奨学金申請と面接を完全オンライン化し、応募障壁を低減しました。
AI英語チューターやリフレクション科目で学修効果を定量化し、2023 年度派遣者数は 1,986 人。コロナ前の年間3,000 人規模への再拡大を視野に入れています。
第4位 東京大学

東京大学は1,900 人台(1,935 人) を海外へ派遣しています。全学交換 「USTEP」 は87 協定校を網羅し、派遣先の約4割が世界大学ランキング上位100以内となっています。理系院生向け共同研究留学や海外大学院との ジョイント・デグリー を拡充し、研究と語学研修を両立する仕組みが強みです。
科研費による渡航費支援や、帰国後の国際学会発表サポート、院生ピアメンタリング制度を整備し、研究志向の学生に選ばれる国際派遣拠点となっています。
第5位 千葉大学

学部横断必修の 「ENGINE 全員留学」 を中核に、1か月未満の短期語学研修から1学期間の学部専門留学まで多様なコースを用意しています。オンライン事前学習で基礎力を高め、現地滞在で実践力を鍛える ハイブリッド型 をいち早く制度化した点が特色です。
給付奨学金・授業料免除も充実し、帰国後は英語プレゼン大会や電子ポートフォリオで成果を可視化。2023年度は 1,832 人 を派遣し、国立大屈指の実績を誇りました。
第6位 京都大学

アジア拠点 KUASU(Kyoto University Asian Studies Unit)が主導する共同研究型プログラムを拡大し、分野横断的な国際共同研究の場を提供。
短期集中セミナーやオンライン連結プロジェクトを組み込み、研究成果と国際経験を同時に獲得できる設計です。学内奨学金の拡充に加え、科研費の渡航費支援で参加ハードルを下げ、1,663人(前年比約6割増)を派遣しました。
第7位 明治大学

独自給付の 「国際化サポート奨励金」 により経済的障壁を大幅に軽減し、交換留学・語学集中・海外インターンなど多彩なプログラムを展開しています。
出発前後の英語集中講座と単位バンドル設計で学修効果と卒業計画の両立が可能です。オンライン相談窓口や企業連携インターンも整備し、2023 年度は 1,656人 を派遣して首都圏私大トップクラスを維持しました。
第8位 同志社大学

37か国176協定校を活用し、4年での卒業を可能にする単位互換設計 が特長。オンライン授業併用と履修計画サポートで留学中の学修遅延を最小化し、専門科目を海外で履修する学生が増加しました。
派遣前英語研修と帰国後キャリアセミナーを義務化し、サービスラーニング科目や SDGs 研究と接続する仕組みを整備。2023年度の派遣者数は 1,330人と前年を大きく上回りました。
第9位 東洋大学

英語副専攻を核にした TGL(Toyo Global Leaders) プログラムで留学を必修化。授業料相互免除の交換留学と短期語学研修を組み合わせ、派遣先は5大陸に広がります。
事前・事後の ピアメンター制度 で学修成果を可視化し、給付奨学金と分割納付制度が経済的負担を軽減。リカレント教育向け短期派遣も新設し、2023 年度は 1,299 人 を海外へ送り出しました。
第10位 上智大学

80 か国 400 校規模のネットワークを背景に、ダブルディグリーから1週間の超短期研修まで 幅広いプログラムを提供。全学共通の留学奨学金と英語中心カリキュラムが学生の意欲を後押しし、国際教養学部との連携で専門性と語学力を両立します。
帰国後のグローバルキャリア科目で成果を統合し、国連機関インターンとの単位互換制度も導入。2023 年度は 1,211 人 が海外へ渡航し、安定した派遣実績を維持しました。
まとめ
海外派遣留学はパンデミックを乗り越え、ほぼ10万人規模の市場へ回復しました。立命館・関西学院が2千人台で先陣を切り、早稲田・東京大など大規模校が追随しています。
短期プログラムの多様化、給付型奨学金の拡充、オンライン併用モデルの普及が相まって、今後も派遣者数は右肩上がりが予想されます。
