毎年激戦が繰り広げられる大学受験市場。「どの大学に人気が集まっているのか?」を知る最も確実な指標が、志願者数の増減率です。
2025年度入試は18歳人口増加と新課程入試初年度が重なり、多くの私立大学で志願者数が大幅に増加する「志願者バブル」が発生しました。この変化に的確に対応した大学は、優れた入試戦略と受験生のニーズを捉える力を持っていると言えるでしょう。
今回は、「前年比でどれだけ志願者数を伸ばしたか?」をもとに、2025年度入試で注目を集めた大学をランキング形式で紹介します。
ランキングの評価方法について

今回のランキングは、2025年度入試における各私立大学の志願者数と2024年度の志願者数を比較し、前年対比での増加率に基づいて順位を決定しています。評価対象は主要私立大学の一般選抜と大学入学共通テスト利用方式の合計志願者数で、以下の条件で集計・整理しました。
・駿台予備学校・河合塾・代々木ゼミナール等の教育機関発表データ
・各大学の公式発表による志願者速報データ
・2025年3月までに確定した最終志願者数
これらの情報をもとに、前年比での増加率が特に高かった大学をランキング形式で紹介します。2025年度は18歳人口の増加、新学習指導要領による新課程入試初年度、安全志向の高まりなどが複合的に作用し、多くの私立大学で志願者数が大幅に増加する結果となりました。
志願者数が大きく伸びた大学
| 順位 | 大学名 | 前年比 |
|---|---|---|
| 1位 | 甲南大学 | 137% |
| 2位 | 日本大学 | 122% |
| 3位 | 学習院大学 | 113% |
| 4位 | 中央大学 | 112% |
| 5位 | 東洋大学 | 111% |
| 6位 | 立教大学 | 111% |
| 7位 | 関西大学 | 110% |
| 8位 | 東京理科大学 | 109% |
| 9位 | 青山学院大学 | 108% |
| 10位 | 慶應義塾大学 | 107% |
| 10位 | 早稲田大学 | 107% |
| 10位 | 近畿大学 | 107% |
| 10位 | 関西学院大学 | 107% |
第1位:甲南大学(Konan University):前年比137%

甲南大学は2025年度入試で前年比137%という驚異的な志願者数増加を記録し、堂々の第1位となりました。
入試日程を早期化し、前期は3教科型、中期は2教科型に統一することで受験生の利便性を大幅に向上。特に「外国語」科目を全学部・学環で共通問題(マーク式)とした結果、併願がしやすくなり一般方式で138%、共通テスト利用方式では新規方式導入により134%の大幅増加を達成しました。
関西圏における中堅私立大学として、時代のニーズに合わせた柔軟な入試改革が功を奏した結果と言えるでしょう。
第2位:日本大学(Nihon University):前年比122%

日本大学は前年比122%となる約1万6000人増の約9万2000人の志願者を集め、見事な復調を遂げました。
2024年度に大学を取り巻く厳しい環境から全体で23%減少し志願者数が7万6千人を下回った同大学でしたが、2025年度は一般方式114%、共通テスト利用方式148%の大幅増加を実現。
社長輩出数ランキング1位、圧倒的多数の卒業生を誇る大学ブランドの底力を見せつけました。前年度の減少が逆にチャレンジ校として捉えられた側面もあり、日大ブランドの真の実力が証明された形となりました。
第3位:学習院大学(Gakushuin University):前年比113%

学習院大学は前年比113%の大幅な志願者数増加を記録しました。伝統ある皇室ゆかりの大学として確固たるブランド力を持ち、少数精鋭の教育体制と都心の好立地により受験生からの高い支持を獲得。
特に文系学部を中心とした堅実な教育内容と就職実績の高さが評価され、安全志向が高まる中で「確実に質の高い教育を受けられる大学」として再評価されています。
目白という都心立地の利便性も相まって、首都圏の受験生から幅広く支持を集めた結果となりました。
第4位:中央大学(Chuo University):前年比112%

中央大学は前年比112%の増加を記録し、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の中でも特に高い伸び率を示しました。
法学部の伝統的な強みに加え、多摩キャンパスから都心回帰を進める学部が増加していることが受験生の関心を集めています。
特に法学部の実績と司法試験合格者数の多さ、経済学部・商学部の充実したカリキュラムが評価され、「実学重視の総合大学」として確固たる地位を築いています。今後の茗荷谷キャンパス開設など都心展開への期待も志願者増加の要因となっています。
第5位:東洋大学(Toyo University):前年比111%

東洋大学は前年比111%の増加で、2年連続の大幅な志願者増を達成しました。
基礎学力テスト型の年内入試導入で話題となり、一般選抜でも1万人以上の志願者増を実現。白山・朝霞・川越・板倉の4キャンパス体制での多様な学習環境と、13学部49学科という幅広い学問領域をカバーする総合大学として進化を続けています。
キャンパスの都心回帰や施設の近代化も進み「たゆまぬ大学改革で注目を集める大学」として受験生の目に留まりやすい存在となっています。哲学を建学の理念とする伝統と革新のバランスが評価されています。
第6位:立教大学(Rikkyo University ):前年比111%

立教大学は前年比111%の増加を記録し、MARCH内でも高い人気を維持しています。池袋・新座の2キャンパス体制で、伝統的なリベラルアーツ教育と国際性を重視した教育プログラムが高く評価されています。
特に経営学部・異文化コミュニケーション学部・社会学部などの人気学部を中心に志願者を集め「おしゃれで国際的な大学」というブランドイメージが受験生に強く支持されています。
全カリキュラムを英語で履修できるGLAP(Global Liberal Arts Program)などの先進的な取り組みも、グローバル志向の受験生から高い関心を集めています。
第7位:関西大学( Kansai University):前年比110%

関西大学は前年比110%の増加を達成し、関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)の中でも安定した人気を誇ります。
千里山キャンパスを中心とした充実した教育環境と、13学部という幅広い学問分野をカバーする総合大学として関西圏で確固たる地位を築いています。
特に商学部・法学部・経済学部の伝統的な強さに加え、近年は情報系学部の充実や国際化推進により、多様な進路を目指す受験生からの支持を獲得。「考動力」を育む実践的な教育方針が、就職実績の高さとともに評価されています。
第8位:東京理科大学(Tokyo University of Science):前年比109%

東京理科大学は前年比109%の増加で、理工系大学として安定した人気を維持しています。
「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神のもと、厳格な教育で知られる同大学は、近年の理系人気の高まりを背景に志願者を増やしています。
野田・葛飾・神楽坂キャンパスでの最新研究設備と、産業界との強いつながりによる就職実績の高さが受験生に評価されています。AI・データサイエンス分野の充実や、大学院進学率の高さも理系志向の受験生にとって大きな魅力となっています。
第9位:青山学院大学( Aoyama Gakuin University):前年比108%

青山学院大学は前年比108%の増加を記録し、MARCHの一角として根強い人気を維持しています。
青山・相模原の2キャンパス体制で、特に青山キャンパスの都心立地と洗練されたキャンパス環境が受験生から高い支持を獲得。
国際政治経済学部・文学部・経営学部などの伝統的な人気学部に加え、近年は地球社会共生学部やコミュニティ人間科学部など新しい学部も設置し、時代のニーズに対応した教育を展開しています。キリスト教に基づく全人教育と、国際性豊かな教育プログラムが特色となっています。
10位:慶應義塾大学(Keio University):前年比107%

慶應義塾大学は前年比107%の志願者増を記録しました。
前年比率上昇の理由は、共通テスト利用入試の拡充と学部横断的な履修制度の導入です。特に数学重視の入試改革により、理系志望者からの注目が高まりました。
志願者増の背景として考えられることは、2024年度からスタートした「データサイエンス副専攻」制度です。AI・DX人材育成への社会的需要の高まりを受け、全学部生が履修可能なこの制度が受験生の関心を集めています。
また、慶應経済学部のPEARL(英語学位)プログラムの評価向上や、医学部における最新医療技術研究の注目度アップも志願者増に寄与。三田会ネットワークを活用したスタートアップ支援の本格化により、起業志向の受験生からも新たな支持を獲得しています。
10位:早稲田大学(Waseda University):前年比107%

早稲田大学は前年比107%という堅調な志願者増を達成しました。
前年比率上昇の理由は、入試制度の多様化と地方受験会場の拡充です。共通テスト+独自試験方式の導入により、様々な学力層の受験生にアプローチできるようになりました。
志願者増の背景は、2024年度に本格始動した「早稲田アントレプレナーシップセンター」の設立が大きな注目を集めたことです。学生起業支援の充実により、将来的な独立・起業を目指す受験生層の関心が急上昇しました。
また、政治経済学部の入試改革で数学必修化が話題となり、文理融合志向の受験生が増加。さらに、コロナ禍を経た対面授業の完全復活と、伝統的な「早稲田らしさ」を求める受験生の回帰現象も志願者数押し上げの要因となっています。
10位:近畿大学(Kindai University):前年比107%

近畿大学は前年比107%の志願者数を獲得し、西日本私大の雄としての地位を確固たるものにしました。
前年比率上昇の理由は「近大マグロ」で話題の水産研究をはじめとする実学重視の教育方針と、積極的な広報戦略です。「固定概念を、ぶっ壊す。」のキャッチコピーで知られる革新的なブランディングが功を奏しています。
志願者増の背景として、2024年度に新設された「情報学部」への高い関心が挙げられます。AI・データサイエンス分野への社会的需要を受け、この新学部設置が大きな話題となりました。
また、近大マグロの完全養殖技術が国際的に評価され、水産学部への注目度が急上昇。さらに、医学部附属病院でのロボット手術導入や、理工学部の宇宙開発研究プロジェクト参加なども、最先端技術に興味を持つ受験生層からの支持拡大に繋がっています。
10位:関西学院大学(Kwansei Gakuin University):前年比107%

関西学院大学は前年比107%の志願者増を記録し、関西私学の名門としての人気を維持しています。
前年比率上昇の理由は、国際化推進と就職支援体制の強化です。海外協定校との交換留学制度拡充や、英語による授業科目の増設により、グローバル志向の受験生から支持を集めています。
志願者増の背景は、2024年度から本格稼働した「神戸三田キャンパス」の理系施設大幅リニューアルが大きな注目を集めたことです。最新のAI・ロボティクス研究設備導入により、理工学部への志願者が急増しました。
また、経済学部・商学部で導入された「グローバル・ビジネス・リーダー育成プログラム」が話題となり、将来的な海外勤務を志向する受験生からの支持が拡大しています。
まとめ
2025年度入試は甲南大学が137%増で首位に立つなど、18歳人口増加と新課程入試が重なった「志願者バブルが発生しました。
日本大学は前年23%減からの大幅回復で122%増と驚異的な復調を見せる一方、慶応・早稲田も107%増と堅調な伸びを示しています。2026年度は18歳人口が再び減少に転じるため、今回の志願者急増が一時的なものか、各大学の真の人気を示すのか注目が集まります。
